« まる(ネコ):大きな箱とねこ3。-A large box and Maru&Hana.- | トップページ | Perfumeの本気:edge@ SAYONARA 国立競技場 <JAPAN NIGHT> »

2014年8月12日 (火)

江戸妖怪大図鑑 第2部「幽霊」@大田記念美術館:「累」のこと

8月2日ブログhttp://bit.ly/1q9qOrtの続き。

四谷怪談の岩、皿屋敷の菊、そして累ヶ淵の累、言うまでもなく日本の三大女性幽霊たちである。実話(もしくは伝聞)がベースではあるが江戸時代を通して脚色・改変・物語化され歌舞伎の演目にもなったことで大衆の大きな支持を集めた。勿論浮世絵においても人気題材になったわけだ。

共通するのは自分勝手で理不尽な男性の行動によって憤死、その後幽霊となって恨みを果たすという内容なのだが、「累」だけはもう少し根が深い設定なのである。お岩とお菊は「夫婦」と「主従」という関係性の中での物語だが、累は「親子」という関係から物語が始まっているのだ。

下総国岡田郡羽生村の百姓・与右衛門が後妻を娶るのだが、母親の連れ子だった助(身体的な欠陥があった)という娘を疎ましく思った義父・与右衛門がその娘を川に溺れさせて殺してしまうのである。

つまり因果の始まりは「助の怨念」なのだ。そして母親と義父の間に生まれた娘が「累」、生まれながらに業(助の身体的特徴を引き継いている)を背負った累の悲劇の物語がここから始まるのである。

さて今回の展覧会では、その累が非道な夫・与右衛門(二代目・入婿)に殺害される場面(助と同じく川に突き落とされる!)を描いた2つの作品が目を引いた。

勝川春好 四代目松本幸四郎の羽生村与右衛門と四代目岩井半四郎の与右衛門女房かさね(1778年)1_2

歌川豊国 五代目松本幸四郎の羽生村の伊右衛門 五代目岩井半四郎の女房かさね(1808年)2

歌舞伎的なケレン味が勝ちすぎている(もちろんその時代のニーズに応えたものだろうが)豊国に比べると、勝川春好の方が生々しい切迫感があって累の悲劇性が伝わってくると思うのだ。この時点で既に異形化してしまっている豊国版の累とは違い、春好版の累の表情には言いようのない「絶望」が浮かんでいて胸に迫るものがある。そして伊右衛門の淡々と仕事をこなすような表情。

物語はこの後、累(助でもある)の怨霊が伊右衛門の家族に祟り続けるのであるが、当時の人々はこの世の理不尽を正すには怨霊になるしか無かった累(助)に対するシンパシーを感じたのではないか。しかも助に至っては「子供」である。同情心も強かったのかもしれない。

そんな訳で物語は、祐天上人によって累と助の霊が解脱されるという形で終わる。死んで尚現世に縛られていた二人の霊にとってはある意味ハッピーエンドということなんだろう。

それで思い出したことがあった。以前山東京伝関連の書籍で出会ったこの絵↓

Tumblr_l93h08vtil1qam59qo1_500

京伝が累を取り上げた著作の最終ページに載った絵らしい。最初見た時は、何で可愛くなっちゃってるのか?(特徴的な左目さえウィンクしてるみたいだし)と謎であったが、累の物語を知れば納得がいくのである。

なんまんだ なんまんだ・・・・・

|

« まる(ネコ):大きな箱とねこ3。-A large box and Maru&Hana.- | トップページ | Perfumeの本気:edge@ SAYONARA 国立競技場 <JAPAN NIGHT> »

文化・芸術」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« まる(ネコ):大きな箱とねこ3。-A large box and Maru&Hana.- | トップページ | Perfumeの本気:edge@ SAYONARA 国立競技場 <JAPAN NIGHT> »