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2012年11月30日 (金)

「シップブレイカー」パオロ・バチガルピ

近未来のタイを舞台にしたSFと言うよりも幻想(妄想)小説といった趣が強い異形の世界観ゆえ、パクチー(東南アジアを代表する香辛料)を初めて味わった時のような後味が残り続けた「ねじまき少女」に続く期待の新作「シップブレイカー」(ローカス賞YA部門受賞作)。

51ruyx5twpl_sl500_aa300_ 舞台は近未来、ただし今回はアジアではなくアメリカ南部(海岸線沿い)。

ご多分に漏れず、この世界でも経済は行き詰まり、エネルギー政策は破綻し、環境汚染は劣悪、貧富の差は極限、そしてその底辺も底辺、本来の寿命も全うできないような最底辺で日々暮らす少年が主人公である。

前作同様、そんな環境のディテールを読み手の想像力で補完する為に前半はじっくりと読み進めなければならないのかと思いきや、これが驚くほどサクサク読める。

ほとんどの風景や環境は過去の映画的記憶で安易に想像可能なのだ。

そう、判りやすいのだよ。

物語も(乱暴に言ってしまえば)「ボーイ・ミーツ・ガール」だし。

ああ、これがYA(ヤングアダルト、ハイティーン向け)小説たるところか、と納得。

ただし、少年達の労働環境の悲惨さや父親との確執(ほぼ一方的な暴力だが)、そして決して優しさの安売りはしない現実的な登場人物(相手役の少女も)たち、と前作ほど過剰ではないが「苦味」成分もピリッと効いているところがこの作者らしいところだ。

そんなキャラの中で半獣半人のとある人物(?)がとても印象に残った。彼のその後についての次作が準備されているようで楽しみだ。

ところで、読んでいる最中に「未来少年コナン」を思い出したのだが、そんな人も多いみたいだね。

ねじまき少女」ブログ記事 http://bit.ly/tCcZPh http://bit.ly/uzB721

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