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2011年7月 3日 (日)

ブルース&ソウル・レコーズ誌通算100号記念は

生誕100年記念特集「あなたの知らないロバート・ジョンソン1518bms3xuwl_ss400_

70年代のブルース・ミニコミ誌「ザ・ブルース」から、その後の「ブラック・ミュージック・リビュー」を経て「ブルース&ソウル・レコーズ」として刊行(1994年)されたブルース専門誌が100号を迎えました。

いや、大したもんです。

地道に日本のブルース人気の土壌を作り続けた結果、いまだにブルース・ファンの絶対数は減っていないのではないでしょうか。いや、近年になってCD付きになるわ、紙質や印刷の質が向上しているわ、微妙に判も大きくなっているわ、で、ひょっとしたら購買層が厚くなり読者が増えているような気もします。

十分採算が取れている?

そうあって欲しいし、たぶんそうでしょう。

音楽を取り巻く状況が予想を超えるスピードで激変しています。従来のビジネスモデルはとっくの昔に崩壊し、新しいメディアやシステムも気がつけばすぐに過去のものとなってしまいます。マスで売る方向性のみが尊重され、音楽の多様性には誰も気を配りません。多様性に対しては、最初から知識のあるマニアの方向けのカタログさえ揃えれば十分対応していると思っているのです。

ところが実際は、音楽の多様性とは聴き手の多様性あってこそなのです。マニアだけが音楽の多様性を支えているわけではないのです。

たとえば、ジャンルに拘らず感性に合うものをさがしている方、好きな音楽(ミュージシャン)のルーツへの探究心や新たな世界への冒険心が旺盛な方、そんな彼らが(便宜上のジャンル分けとABC順で)整然と並べられた膨大なカタログを目の前にして、そこから誰の手助けも得ずに理想のチョイスをすることはなかなか難しい現状になっています。

かろうじて頼りになりのは、専門(提灯系多いですよね)音楽雑誌やネット上の批評性の欠片もない美辞麗句の絶賛コメントか傲慢で悪意に満ちた否定コメントぐらいです。強かなユーザーならそこから己の求める真実を見つけ出すこともできるでしょうが、これがなかなか難しいのです。絶賛を信じて期待外れで後悔するか、否定を信じて人生一度の貴重な出会いのチャンスを逃してしまうか(すぐに答えを求めたがる方にも問題はありますが)。

そうなんですよ。今の音楽流通システムには「宣伝」(仕掛けや効率、そしてデーター優先)という発想はあっても、「啓発」(専門知識、人材、接客)という概念はほとんどありません。

昔の良いレコード屋にはそれがありました。ユーザーの自己啓発を手助けする豊かな商品知識と優れた接客技術、そしてスタッフの人間性(あ、これは、二度と来るかと思うぐらいアクが強すぎる輩もいましたがね)。

今でも音楽を愛している中高年の方々ならそんなご贔屓のレコード屋が何軒かあったのではないでしょうか(実は私はレコードを売る立場であったのですが、接客を通して逆にお客様から「啓発」されることも多々ありました)。

どうも話があらぬ方向へいきそうなので、100号記念の話にもどします。

ブルース&ソウル・レコーズ誌には前身雑誌の時代から常に一貫してブルースを未知なるファン層へ向けて「啓発」していこうという姿勢があったことが素晴らしいと思います。

しかもそれは上から目線の「衆生を教え導く」いうことではなく、リニューアルや号を重ねる度に、より間口は広く素材(CD)は多くしかも奥は深く探究は尽きないという、読者(既存のブルースファン含む)の自己啓発を永遠に刺激し続ける方向性なのです。

そして、執筆陣も個性豊かで魅力的(ホメすぎかな)。

そして今回の特集記事でも「啓発」されちゃいました。

 ◇これがロバートの本当の声? 戦前ブルース音源研究所の成果
戦前録音はブルースに限らず再生速度が正しいのかという問題が常にありました。ピアノなど音階の信頼度が高い楽器を含む場合は別ですが、伴奏がギターだけという場合はかなり曖昧になります。ロバートの場合も例外ではありません。本来はもっとピッチが低いのではと過去にも何度か話題になりました。やれ、声の響きがより自然で豊かだとか、ギターが生々しいとか、まぁ、確かに既存のものは甲高い声過ぎるな、と思っていましたが、慣れ親しんじゃってましたし、我々が直接聴き比べる機会が来るとは思いませんでしたから、必要以上の興味は沸きませんでした。
が、
技術の進歩とネット時代の恩恵で戦前ブルース音源研究所で聴けちゃうのですよ。

詳しくは記事を読んでもらうとして、一聴した印象ですが、これは確かに新鮮な驚きをもたらしてくれます。ただ個人的には、既存版の今回のリマスターをかなり気に入っていますので、こんな形もありかな程度の感想ですが・・・でも、まとめて出たら欲しいことは欲しいです。

 

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