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2011年5月 6日 (金)

特別展「写楽」@東京国立博物館 平成館

Middle_1304522451実は役者絵は苦手だった。

浮世絵の数ある題材の中で一番「お仕事」感が強く、当時の大衆の嗜好性(ニーズ)に沿うことが第一義で、定型的な表現が多いからだ。しかも、その表現自体も当時の歌舞伎やその役者たち、そして風俗などの知識がないと十分理解し楽しめないときているから困る。

自分も今でこそ歌舞伎の定番演目(忠臣蔵、曽我物、暫、等々)を描いたものならばある程度理解は可能になってきた。が、やはり没個性的でお約束な表現が優先する役者絵には今一つ魅力を感じなかったのである。

もちろん絵師の職人としての巧さや完成度の高さは評価できる作品もあった。が、押しなべて作家性が希薄というか、例えば、美人画ならば職人として的確にその時代のニーズに応えつつも否が応でも絵師のリアルな視線(感性)を意識させざるを得ない普遍的な魅力を持つ作品があるのだが、役者絵でそういう作品に出合うことは非常に少ない。

と思っていたところに、この写楽展である。

この展覧会の優れたところは、当時の役者や演目ごとの括りで陳列したことだ。安易に今の「目」でも評価し易い大首絵のインパクトを優先するのではなく、役者絵の変遷や同時代の絵師との比較などから役者絵そのものの魅力を「浮世絵」史的な側面から伝わるように工夫されていることが新鮮で興味深かった。

そしてこれが滅法面白い。

ちょっと想像力を使って当時の江戸っ子の芝居知識や好奇心を共有するだけで、どんどん楽しくなってくるのである。

ああ、役者絵には役者絵だからこその楽しみ方あるのだと、今更ながら目から鱗である。

ああこの役者いいなぁ、とか、この敵役は見るからに憎らしいとか、このふたりはコメディ担当かな、とか、描かれた役者たちが外連味溢れる物語の中で生き生きとしてくるのである。

これは近代的な価値観で評価するだけでは絶対に味わえない楽しさだ。

そう、時代を超えて大衆のニーズの応え続けてこその浮世絵。今の感性で評価鑑賞する、そして当時の目で楽しむ、どちらもOK。この懐の深さがあるからこそ未だに浮世絵の魅力が尽きないのであろう。

ということで、私は写楽第二期が好き。

「二本松陸奥生長」からOukyo2a_2

右の三代目大谷鬼冶演じる川島治部五郎の「悪」ぶりが最高です。

特別展「写楽」@東京国立博物館 平成館http://sharaku2011.jp/

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