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2010年2月22日 (月)

龍馬伝 第8話「弥太郎の涙」

今回の実質的主人公は傍から見るには面白いが近くにいたら大迷惑、決して好きにはなれそうもない岩崎弥太郎である。

幕末動乱の真っ只中をしたたかに生き延び、その人間関係や己の商才を活かして海運事業で財を成し、日本最初の(最後の?)政商にして最大の財閥三菱を築き上げた男、岩崎弥太郎。三井、住友など他の財閥が江戸時代からの家業の流れで存在できたこととは違って、侍とはいえ郷士(下士)ですらない最底辺である地下浪人出身の彼がそこまでの成功を収めたのは混乱の時代であるとはいえ驚異といっても良い。その分、頭脳と度胸だけで道を開いてきた立志伝中の人物にありがちなように毀誉褒貶も激しい人であったようだ。このドラマで香川が過剰なほど濃厚に演じる高慢で自信過剰で傲岸不遜で自負心の塊のような(ひどいな、でも良いところも・・・少ないかな)弥太郎の姿はそんな(後年の)彼のイメージをぐっと濃縮したようなものだと思う。かっては財閥、今は大スポンサー様である三菱の始祖をこうまで描けるのはNHKだからこそだろうな。

ただ、若い頃からこんな性格では人に疎まれることはあっても好かれることは絶対無い。岩崎の最大の武器でもあった恵まれた人間関係の構築などまず無理だ。だから、ドラマ上で誰がその高慢の鼻柱をへし折ってくれるか非常に興味があった。弥太郎を一度完膚なきまでに叩きのめし、バランス感覚というか力の出しどころセーブの仕方に意識的にさせてくれるような人物。それは(史実的にも)吉田東洋以外にはいないとは知ってはいた。ただそれは弥太郎の投獄後のことでもあるし、どう接点を描くのだろうと思っていた。まさか龍馬がお膳立て、なんてのは嫌だし。

そしたらこれですよ。

なんの力もない者は、黙ってるしかないがじゃ」by吉田東洋

水争いの不当な裁きの異議申し立てに訪れた弥太郎・龍馬へのこの一言。

田中泯演じる吉田東洋の異様な迫力もさることながら、脚本が良い。前に松陰から「何者じゃ」と言われた龍馬に今回前半で「何者にもなっていない」と言わせ、そして最後に東洋からこれ。

「何者か」である以前に「何者になりたいのか」さえ不確かな二人には強烈な言葉だ。特に弥太郎には次の言葉もかなり効いたようだったな。

わしは殴ってもええがじゃ天才じゃき

「力」を得なければどうにもならない。それは為政者としての権力なのか、はたまた別のものなのか(歴史的事実として答えは知っているのだけどね)。さらに弥太郎の獄中生活と東洋との関係がどう彼に変化をもたらすのか。次週以降も興味は尽きない。

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