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2008年11月13日 (木)

合葬 杉浦日向子

合葬」 杉浦日向子 1983年C04

「義」とは何ぞや?正義?大義?何に対しての「正義」であり「大義」なのか?

ここには大人たちの様に冷静に、もしくは狡猾に立ち舞える術もなく、抽象的で曖昧な「義」のみを拠り所に生き急いだ少年たちがいる。自分なりの価値観など持ちようもない短い人生のはずなのに、受け売りの「義」を自ら生み出した価値観と思いこんでしまう、いや、思い込むことでしか自分の存在を肯定できなかったのかもしれない。時代とともに価値観が大きく変動する中にあって、旧幕臣旗本の環境で育った彼らが柔軟に対応することは容易ではなかったと思う。

この作品には三人の若者が登場する。自らの拠り所に執着する秋津極。拠り所には執着せず流れに任せながら生きていく吉森柾之助。世の変化に柔軟に対応し新しい拠り所を見つけようとする福原悌二郎。

この三人の個性(立ち位置)の差が読み手に多角的な視座を与えている。そこには絶対的な価値観など存在しないのだ。それら全てを見境なく飲み込んでしまう理不尽な歴史の悲劇があるだけだ。

それにしても、福原悌二郎の理不尽な死は重い。彼が死の間際に見た幻のような一編「長崎にて」には涙が止まらない。

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