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2008年10月15日 (水)

レコード・コレクターズ増刊             「ビートルズ名曲ベスト100」

レココレ紙上で7~9月号に渡って特集されたビートルズ名曲ベストが、読者投票など新たに手を加えられ増刊号として刊行された。B100bsrgb72500tmp

団塊の世代に向けられたこれ見よがしの懐古趣味ではなく、さすがレココレ、時空を超えた音楽的刺激に満ちた良い仕上がりだ。おかげで、8年前の引っ越し以来そのままだった段ボールの中から手許に置いていなかったビートルズのCD(初期・後期)を探し出す羽目になった。

来日時の社会的騒動(テレビ放送は家族で観た)や有名曲は知っていたとはいえ、リアルタイムで意識し始めたのは68年頃だった。たぶんテレビで放映された『ハロー・グッドバイ』がきっかけだったと思う。

個人的名曲ベストはもう少し考えてから発表するが、ここでは最も好きなアルバムの事を思い出すまま書く。Fa7346020ea0ba6c206e8110_l

ホワイト・アルバム」との記念すべき初遭遇は友人の持っていた日本盤2枚組レコードだった。購入したばかりの知人は貸し渋ったが、一晩だけという条件で、私が所持していた「ベガーズ・バンケット」か「クリームの素晴らしき世界(ライヴ盤)」と交換して借りた記憶がある。その頃の私はそれまでのポップスとは違う新しいロックの流れに興味が向いていた事もあり、ビートルズは既に旧世代のバンドというイメージがあった。

ところがどうだ、この2枚組の雑多でありながら音楽的で濃密な世界は!一曲たりとも疎かに聴けないではないか。聞きかじりで頭でっかちなロックの概念なんて軽く吹っ飛ぶ衝撃だった。ぶれない軸(個性)があれば「なんでもあり」こそロックなのだ。そうでなければ『レボルーション 9』と『グッド・ナイト』のとんでもない落差の説明がつかない(後年、2曲ともジョンの作品と知った時はちょっと興奮した)。当時の私がはっきりと自覚していたわけではないが、自分のその後の音楽生活における雑食性に大きな影響を与えたのは間違いない(おかげで、ビートルズだけが特別な存在ではないことになるのだが)。

2枚組全て聴き終えた時は精神的に消耗しグッタリきた。気軽に録音できる環境ではなかった事もあり、一回聴いただけで細部まで記憶する覚悟で集中し音楽を聴いた時代だったのだ(後年、再びアルバムを聴いた時、細部にわたって記憶の通りだったことに自分でも驚いた。この努力を勉学に役立てておけば・・・)。その日は2回目を聴くだけのパワーは残っておらず、次の日、未練を残しながら友人に返却したのだった。

正直にいってしまえば、自分でビートルズのアルバムを積極的に所持し聴くようになったのは80年代のCD化以降である。それまで聴いてはいたがほんの一部(「サージェント~」前後)を除いて自分で所持することはなかった。しかし、それが逆に良かったのかもしれない。ロック、ソウル、ジャズ、新しい物、古い物などなど多様な音楽に触れてきた自分の耳にビートルズの音楽が宝の山(もしくは、汲めども尽きぬ泉、豊潤な大地、なんでも可)のように感じられたからだ。必要以上の思い入れを待たずに、純粋に音楽の魅力だけを楽しむことができたのだ。

中でもこの「ホワイト・アルバム」は特別な存在になった。集団でありながら個でもあるバンドの魅力をグッと濃縮したような音楽宇宙。無意識が生み出す「混沌」というというコンセプト。「ここまで」と「ここから」―ロックの歴史の分水嶺(どんな時代、どんな個人史においても適用可)。未だに、聴く度に自分の感性が上書き更新される気がする。決してリセットではないのだ。だからこのアルバムだけはいつでも聴けるように手の届くところに置いてあった。

という事で、今夜久しぶりにビートルズを聴いてみよう。

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