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2008年9月30日 (火)

大金星 黒田硫黄

2002年から2006年までの短編・中編を集めた作品集。7andy_07209176傾向としては「茄子」連作に近いか。

メビウス風小品『Schweitzer』、初期の筒井康隆作品を彷彿させる『居酒屋武装条例』、オチがじんわりと怖い『多田博士』等、相変わらずいい味出しているSF・ファンタジー系の作品群。

さらに、舞台が外国であろうと自転車競技であろうと黒田ワールドは黒田ワールドでしかない「なんちゃって」外人漫画『アンヘル』(『アンダルシアの夏』のスピンオフ?)。まぁ、これは外国が舞台に限らず、黒田が描く作品世界はどれもデビュー作『大日本天狗党絵詞』の世界からの地続きに思えるわけだが。

どの作品も、さすがの語り口で飽きさせない。また、「筆」系の道具を全面に使う事は少なくなったけれど、イイ感じに肩の力の抜けた(極めてマンガ的でもある)描線が読み手を疲れさせないのだ。

中でも一番のお薦め作品は中編『ミシ』。

主人公(モテない男)の前に現れるのは、キレイなねぇちゃん、じゃなくて、異形の生き物「ミシ」。これの造形が、何と言うか、なまはげに動物の身体(マントヒヒ系?)を掛け合わせてネコ系手足(尻の穴付き)を加えマンガ的デフォルメを施したようなデザインなのだ(しかもなまはげの顔は着脱可能なお面ときたもんだ)。その生き物はどうやら辺境未開の地のとある部族らしいのだが、どう見ても人間じゃありません。

で、そのミシがいろいろ(中略)あった末、お礼の意味でお世話になるであろうこの土地(たぶん日本)で喜ばれることをしようと考えるわけだが、それが見事な伏線回収で、思わず「こう来たか」と膝を打ってしまった。ブラックです。黒田硫黄は黒いです。

観念的になり過ぎない頃の筒井康隆の虚構名作群(『熊の木本線』『エロティック街道』…)と並びうる虚構漫画の傑作とここで言い切っておこう。

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