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2008年6月 4日 (水)

つんつるてん 山上たつひこ

857d31e29fa06aa56083a110__aa240___2 この第5巻 で今回の撰集も終了する。単なる懐古的なものではなくこの時代だからこその再評価を得て欲しいのだが、反響はどうなのだろう。売れてくれれば次もあるかもしれないし…

体は犬だが「目」が半田溶助な『あるぷす犬坊』は言わずもがな、続く『岩風呂くん』と『えら兄ちゃん』も半田溶助シリーズのバリエーションだ。“諸般の事情”で収録が見送られた『女狩り』の代替えとも言えるかもしれない。

少年誌に掲載されたとは思えないストレートなエロいギャグが炸裂する『あるぷす犬坊』も楽しいが、久々に読んだ『岩風呂くん』には笑わされた。温泉旅館を舞台にした話なのだが、テンポの良い展開もさることながら従業員のリアルな濃い顔のキャラ造り最高だ。この頃が『喜劇新思想体系』あたりから始まった山上らしい「ペン先の強弱で太めの描線を描き分ける」作画タッチの完成期ではないかな(このある種の劇画的な泥臭さが80年代に入ると洗練された均一な描線になって薄まっていくのだが、それはそれで味わいがある)。

岩風呂くん』にも登場しているが、この頃の山上漫画のあちこちにさりげなく書き加えられているウサギは当時の山上が実際に自宅で飼っていた動物だ。かなり可愛がっていたようで、主人公として漫画も描いている。それがここに収録されている『ラビットくん』だ。関西弁を話すウサギとネコたちの繰り広げる漫才か新喜劇のような短編だが、この当たり前のように人間と会話をする動物たちという設定は山上ワールドの重要な要素の一つで私にとっては非常に魅力的な世界だ(『がきデカ』でも栃の嵐とその息子が大好きだった)。

80年代の過激な山上漫画での二等身首無しキャラはいつ頃から使い始めていたのだろうか?以前から気にはなっていたのだが、収録作品『ゴムゴム』の76年が最初期になるのかな。『あるぷす犬坊』と同時期か、うーむ。79年の『つんつるてん』で80年代に続くキャラ設定の確立といったところかな。この頃は普通のキャラと混在しているので主人公周辺を際立たせる為の設定という使い方だが、後年は登場人物ほぼ全員二等身キャラになってしまうのだ(ああ、『金瓶梅』をどこかで復刻してほしいなぁ)。

撰集シリーズはひとまず完結だが、7月上旬に『光る風』が刊行される。編集長のブログによれば「これまでのソノラマ版、山上選集版(双葉社)、ちくま文庫版とは、かなり印象の違うものになりそうです。」という事なので期待できそうだ。ちなみに『中春こまわり君』も同時発売。

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