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2008年5月17日 (土)

こんな映画を観てきた 11         野良犬  

野良犬(49年)黒澤明 NHK BS2 5/5放映Straydog04

戦後の混沌とした社会を生きていた若者たちはこの作品(と『酔いどれ天使』)の黒澤監督に同時代意識的な共感を覚えたのだはないか。思想や信条だけでは対応しきれない厳しい現実とめまぐるしい価値観の変化、したたかに生き抜く術を持っていた年配者と違い、野良犬のように自分の嗅覚だけを頼りに時代と向かい合わなければならなかった若者たちにとっては村上も遊佐も有り得べき自分たちに姿だった。社会という「檻」からはみ出し「狂犬」のように生きざるを得ない状況に陥る可能性は日常に常に存在していたのだ。

遊佐の罪は決して許されるべきではないが、村上の隣で慟哭する彼に憐れみと共に共感のような気持を抱いたものも多かっただろう。

戦後大学生でありながら放蕩の限りを尽くしていた今村昌平が『野良犬』と「酔いどれ天使」に大きな衝撃を受け映画界へ入るきっかけになったそうだが、むべなるかな、である。

しかし、この映画はそんな時代的背景を知らなくても普遍的に素晴らしい。むしろ外国映画を観るように、描かれる風俗や風景自体が刺激的で興味深く面白いのだ。当時はリアリズムを出すために隠し撮りまで駆使して撮影された闇市の映像等が却ってこの作品の異空間、異文化的側面を強調することになるとは、現代劇独特のパラドックスだ。

それにしても、精神的にも肉体的にもうんざりするような「暑さ」の表現が凄いねぇ、踊り子たちのシーンなんて色っぽさの欠片もない、あるのは圧倒的な不快指数の高さ。演出家(?)役の千秋実のいかがわしさも印象的。短い出番だけど東野英治郎の「おやじ」演技はいつもいぶし銀の味。でも個人的に一番好きなのは千石規子の密売人の情婦役、、志村喬との取調べシーンは最高です。

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