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2008年4月24日 (木)

こんな映画を観てきた 8       ベルヴィル・ランデブー

ベルヴィル・ランデブー シルヴァン・ショメ監督4.20 NHK BShi放映0052

3月末の放映時に放送事故があったため、今回再放送された作品だ。クライマックス・シーンでの放送事故もそうだが、冒頭シーンも見逃していたので大変ありがたい。

そして、そのタイトルバックから続く冒頭シーンがこの作品にとって非常に重要だったのだ。

本編の登場キャラである三つ子の女性歌手グループ「トリプレット」の全盛期を1920年代のパリのレヴューをモデルにして架空の街ベルヴィルを舞台に再現しているのだが、これが素晴らしい。当時の白黒アニメのタッチを使いあの時代の退廃と享楽の文化をシュールに描いているのだ。トリプレットが歌う一度聴いたら忘れられないスイング感あふれるテーマ曲、演奏者の中に2本指奏法のギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトがいるではないか(彼はも使っていたのか!?)。そして踊りだすのはジョセフィン・ベイカー、この動きは「映像の世紀」で見た覚えが・・・興奮したお猿さんに襲われちゃうし。続いて、何とフレッド・アステア登場!見事なステップ披露、と自慢のシューズに食べられちゃうというオチがシュールすぎる(死んでいるようにしか見えない上半身だけが引きずられて行くのがなんとも・・・)。たった数分の間の密度の濃い情報量と発想の飛躍ぶり、この作品が「只者ではない」ことを知らしめるのに十分なものだ。

しかし、カラー画面で本編が始めると雰囲気が一変する。

田園風景の中で慎ましく生活する祖母と孫の描写。両親を失った孫の為に苦心する祖母、やっと自転車に孫の目が輝いた、という辺りまでは絵は奇麗だけど普通の作品?という展開なのだ。

ところが、年月がたち家の周りの開発が進み、孫シャンピオンも青年になると再び世界がねじれ始める。

まず目が行くのが、決して「かわいい」方向にはデフォルメされないキャラクター造形だ。青年シャンピオンのこの顔と身体は何なんだ?彼に限らず、この後登場するキャラは個々の特徴を示す部分を極端に誇張、肥大化させた外見のものがほとんどになる。そのある種の現代美術を想起させるのような美意識はキャラクターのみならず他の部分でも徹底されている(私はいまだかってあれほど印象的な船のデザインを見たことがない)。

そしてストーリが予断を許さない面白さに満ちている。未見の人もいると思うので詳しくは書かないが、活劇としてのアニメの基本もおさえている。セリフは極端に少ないが画面自体が饒舌だし、、挿入される音楽や歌が優れていて飽きることはない。

最初は違和感があっても、作り手の美意識に波長が合い始めれば、麻薬的魅力を発し始める作品なのだ。

その素晴らしい美術と音楽の一部が楽しめる公式サイトhttp://www.klockworx.com/belleville/index.html

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