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2008年2月 2日 (土)

イムリ 3 三宅乱丈

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待望の3巻目を購入。

2巻目までは物語の世界と主人公周辺の案内と説明を中心とした導入部だった事もあってか、比較的ゆっくりと話が展開していた。しかし、2巻目の終わりで勃発した軍事系クーデターの顛末と主人公の辺境での旅を中心に描かれた3巻目で物語は急速に変化し深化し複雑になっていく。

クーデターの顛末では、支配階級と軍部との政治的駆け引きの面白さ、支配階級の長である呪大師のしたたかさと支配階級の成り立ちに関する隠された秘密の業の深さが描かれる。

そして主人公デュルクの辺境での旅では、未知なる物や人々と出会う喜びや不安がデュルクの目を通して描かれ、この物語の重要な舞台であるルーンと住民イムリの実態が少しずつ明かされる。そのロードムービー的展開は読者の好奇心を刺激し興味を持続させる。

本当に見事な構成だと思う。話としてきちんと面白いのだ。この種のハードなSFにありがちな必要以上の説明的な部分とか希薄な人間関係とかがない。まず(それが愛であれ、憎しみであれ)人間同士の触れ合いが描かれ、そこを中心に話が進む。作者が女性であることも関係するのかな。

もちろん、この世界は独自の科学体系、支配階級制度、物の呼び名等、それだけで膨大なサブ・テキストが作れるほど細部まで構築されている。各自脳内辞書を作りつつじっくりと何度も味わえば旨みが増してくる楽しみもあるのだ。

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